インプラントとは
インプラントとは、歯を失った患者に対して行う治療法で、チタンなどの金属やアパタイト(リン酸カルシウム)などの合成材料でつくられた歯根を、あごの骨に穴を開けて植え込み、接着後、上部構造とよばれる歯冠部をその歯根にかぶせるものをいいます。一口にインプラント義歯といっても、約30もの種類があり、手術方法も異なります。
インプラント義歯をいれると、自分の歯で噛んでいるような感覚が得られ、外見も本物の歯のように見えることから、「夢の永久歯」「第三の歯」などとよばれ、非常に脚光をあびました。ただ、初期の頃は失敗例も多く医師と患者の間でトラブルも多くおこりました。しかし、技術と材料の進歩によって、今では安定した効果を得られるようになりました。
ただ、インプラント後のケアには注意が必要です。金属部が歯茎や骨と接続している部分を不潔にしていると、本物の歯のような生体防御反応が働かないために感染が広がり、インプラントが外れてしまうこともあるからです。毎日、きちんと丁寧な歯磨きができない人には、インプラントは適さないといえます。また、あごの成長が続く子供や、歯をぬいたまま長時間放置したためにあごの骨がやせ細ってしまっている人、上あごの奥歯の骨の薄くなっている部分や下あごの神経が通る穴の部分にはインプラントができないなどの制約条件もあります。
日本の大学病院で最初にインプラント診療科を設けた日本歯科大学病院では、1991年年1月に同科を設立してから5年間でのべ1200人におよぶインプラント希望者が来院したが、その4分の1を占める約300人が骨量不足や不正咬合のために不適応、約450人がブリッジなどの従来の施術で事たりたため、結局実際にインプラント治療を行った患者は、約450人にすぎなかったそうです。
インプラント治療では、通常、予備検査から実際にインプラント義歯をかぶせるまで1年ほどの期間がかかります。もし虫歯や歯槽膿漏などがあれば更に治療期間は長くなります。
費用も高額で、国の高度先進医療の承認医療機関となっている日本歯科大学病院、東京医科歯科大学病院など、全国で10の医療機関を除いて、インプラント治療を受けた場合、保険がまったくきかず、全額自己負担となります。インプラント義歯は1本あたり40万から60万くらいが相場といわれていますが、検査から治療費まですべてが自己負担となるので、手術を受ける際は、総額がいくらになるのかを事前に確認をしておくほうがいいでしょう。